2016年3月2日追記:福士選手・名古屋ウィメンズ欠場のニュースを読んで、「クリアな選考基準の検討を」を追記しました。
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1月31日の大阪国際女子マラソンで福士加代子選手が優勝。タイムもオリンピック(リオ五輪)選考基準の2時間22分30秒を上回って文句なし…のはずが、内定の連絡もなく、このままでは3月の名古屋ウィメンズにエントリーするかも?というニュースが流れました。
目次
- オリンピック選考のモヤモヤ再び
- これまでも繰り返してきたオリンピック直前の選考のモヤモヤ
- 名古屋ウィメンズで選考基準タイム突破の選手が2人以上出てもスッキリする選考を
- 朝日新聞の増田記者は「方向性だけでも示せないか」
- 追記:2016年3月2日 【福士選手・名古屋ウィメンズ欠場】クリアな選考基準の検討を
- 追記:「名古屋ウィメンズマラソン」後にリオ五輪代表を予想しました
- 関連記事:大阪女子マラソン現地観戦記録
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オリンピック選考のモヤモヤ再び
またモヤモヤする展開!?
と、思ってしまいました。
選考基準の重要視する条件に2時間22分30秒とあったので、今回は文句なしの決定かと思っていましたが、日本陸連によると”まだ名古屋ウィメンズがあるからそれを見てから選考する”ということだそうです。
福士は大阪国際で、日本陸上競技連盟が代表選考で最重要視する「派遣設定記録」の2時間22分30秒を切る2時間22分17秒の好タイムで優勝した。ただ、31日のレース後、日本陸連の酒井勝充強化副委員長は「代表決定とは言えない。その(候補の)中の一人に入ったという位置付け」と語っていた。
1月31日に福士さんが出した記録は日本女子歴代7位の好タイムですが、もしかすると名古屋ウィメンズで福士さんの記録を上回る選手が2人(またはそれ以上)出るかもしれない、ということです。
約1カ月半の短期間で再び選考レースを走る異例の挑戦となる。永山監督は決断の理由を「日本陸連から確定と言ってもらえず、外れる可能性も数パーセント残っている。無理は承知だが、福士の名前が必ず残るようにしないといけない」と説明した。
うーん、なんだかスッキリしないですね。
これまでも繰り返してきたオリンピック直前の選考のモヤモヤ
同じようなモヤモヤを何度も繰り返して、もうこういうことはないのかと思っていましたが、まだ選考基準や過程は変わっていないのでしょうか。
監督が名古屋マラソンのことを持ち出したのは牽制球だと良いのですが…。
(2016年1月31日 大阪国際女子マラソンで快走した福士選手。16km付近・JR大阪城公園駅前で撮影。)
名古屋ウィメンズで選考基準タイム突破の選手が2人以上出てもスッキリする選考を
もし、名古屋ウィメンズで2時間22分30秒を切る選手が2人以上出ても、誰もが納得できる選考をしてほしいと思います。
今の選考は、選考過程も基準も平等とは思えなくてすっきりしないですよね。
そもそも去年の世界選手権入賞で内定を出すのは正解だったのか?夏と冬のレースは比べられるのか?代表は3人で選考レースが4つあることに問題はないのか?選考レースで良い成績を出しても先の事が決まらない選手は、その間何を目標にトレーニングすれば良いのか?優先するのはタイムなのか順位なのか?
など、沢山の疑問が沸いてきます。
朝日新聞の増田記者は「方向性だけでも示せないか」
正解はないのかもしれませんが、朝日新聞の増田記者が言うように”今の時点でどの基準をどれだけ優先させるのか”ということだけでも分かれば良いですよね。
福士さんが名古屋ウィメンズに出場するのは、オリンピックへの体のコンディションを考えると明らかに良くない選択肢に思えます。今の時点の陸連の考えで「名古屋の2番手の選手が福士さんより良い記録を出した場合に何の基準を優先するのか」を示せば、方向性を定めることができそうです。
福士選手の名古屋再挑戦。日本陸連は内定は出せないけど、考え方を示すことはできないか? 永山監督の考えは「極論すれば名古屋の日本人2番目が世界記録を出したとしても、日本人に負けているから、優勝の福士より優先されるのは、おかしい」。これを陸連として是とするか非とするか。つづく
— 増田創至 (@masudasoji) 2016, 2月 2
陸連が、名古屋で世界記録を出した日本人2番手を福士選手より高く評価する可能性があるという立場なら、果報を寝て待つかどうかは永山監督らの判断に任せれば良いし、一方、名古屋の日本人2番手は世界記録でも福士選手の優勝+設定突破を評価するなら、福士選手は名古屋を走る必要がなくなる。つづく
— 増田創至 (@masudasoji) 2016, 2月 2
いずれにしても、マラソン選考は4レースから3人を選ぶのだから、すんなりいかないのは当然。選手への公平さを最も重視するなら、米国のように一発選考だけど、普及や強い選手団を編成するという点も考慮すると、複数レースの実施にもメリットはあって、悩ましい問題のようです。
— 増田創至 (@masudasoji) 2016, 2月 2
ちなみに今回の選考ルールの大枠は2013年初夏頃には発表されていました。ナショナルチーム優先という考え方が撤廃されたけど、世界選手権の最上位入賞が内定して、残りを国内3レースの日本勢上位3人ずつ延べ9人から総合的に判断して選ぶというのは変更ありません。
— 増田創至 (@masudasoji) 2016, 2月 2
国内選考レースは原則、追試は認められず、走っても選考対象にならない決まりです。設定記録2時間22分30秒を突破した場合だけ、追試でも選考対象になるとのこと。なので、福士選手が仮に名古屋を走って途中棄権しても評価に傷はつかず、誰も設定記録を突破できなければ、代表が当確です。
— 増田創至 (@masudasoji) 2016, 2月 2
各最大1名の「各」は「男女」を受けてます。国内選考3レースで日本勢上位3人に入った中の設定記録突破者から、男女各最大1人を先ず代表に選びます。昨夏にあったメディア向けの説明会でそう理解しました。
— 増田創至 (@masudasoji) 2016, 2月 2
https://t.co/s37MSA60as
追記:2016年3月2日 【福士選手・名古屋ウィメンズ欠場】クリアな選考基準の検討を
福士さんが名古屋ウィメンズを欠場するとのニュースが流れました。⇒福士 名古屋ウィメンズを欠場(2016年3月1日(火)掲載) - Yahoo!ニュース
理由は「チームとしてのケーススタディーによる総合的判断の結果として」。(上記記事より引用)
名古屋を欠場してもリオ五輪候補として充分アピールできた、との監督側の判断もあったと思います。今回のケースは、選考基準そのものがいかにあいまいなものかを改めて示しました。現在の選考基準では選考レースが全て終了するまで内定を出せないのはルールでもあるのですが、監督が駆け引きのようなことまでしなければならないのは問題ですよね。
タレントの武井壮さんも問題提起しています。⇒武井壮「もし名古屋マラソンで2選手が2時間19分台だったら、陸連はどうするんだろう」 : J-CASTテレビウォッチ
実際に、過去にオリンピック選考にもれた経験のある松野明美さんの言葉も印象に残りました⇒松野明美さん、福士の名古屋強行エントリーに「陸連はすぐにでも内定を」 : スポーツ報知
今後、福士さんがリオ五輪代表に選ばれたとしても「めでたしめでたし」で終えてしまうことではなく、リオ五輪以降の世界選手権やオリンピック代表選考でのクリアな選考基準について、もっと検討してほしいと思います。
追記:「名古屋ウィメンズマラソン」後にリオ五輪代表を予想しました
アテネオリンピック金メダリストの野口みずき選手にとって、オリンピックへのチャレンジはこれがラストとなりました。オリンピック代表予想と合わせて、野口みずき選手のレースも振り返りました。
⇒【リオ五輪2016】マラソン女子日本代表は誰になる?「名古屋ウィメンズマラソン」終了後の予想&野口みずきラストチャレンジ - さんぽガーデン
関連記事:大阪女子マラソン現地観戦記録
1月31日、福士さんが優勝した第35回大阪国際女子マラソンを現地で応援してきました。大阪城公園での16km付近と長居スタジアムでのゴール地点での現地観戦記です。