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【あらすじネタバレあり感想】ディーン・フジオカ「喧騒の街、静かな海」:家族の再生と現代の問題を丁寧に描いた良作【NHK大阪初主演ドラマ】【寺尾聡】【久保田紗友】

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ディーン・フジオカさんが寺尾聰さん&NHK大阪とタッグを組んで、NHK初主演となった73分ドラマ「喧騒の街、静かな海」を昨晩視聴しました。

ドラマ制作発表時に明かされていたストーリーラインは、父と息子の関係に焦点が当たっていましたが、それ以上に、自分が知らなかった家族の一面を新しく発見した時の心の変化や家族の再生、現代を生きる人達が抱えている社会問題や心の問題が丁寧に描かれていた良作でした。

では、早速感想を書いていきたいと思います。

【↓以下あらすじネタバレありですので、まだドラマをご覧になっていない方はご注意ください】

【この記事のもくじ】

写真家の水無月進が精神科医・海老沢に近づいた理由

写真家である水無月進 (ディーン・フジオカ)は、大阪でクリニックを開いている精神科医・海老沢淳(寺尾聡)を父親だと知りながら、素性を隠して”取材したい”と言って近づきました。

偶然を装って、”地回り先生”をしている海老沢と出会い、取材を申し込んだのです。

精神科医・海老沢は町を歩き、大阪の街をウロウロしている少女たちを守ろうと声をかけています。

その中でもクロと呼ばれる少女(久保田紗友)の危なっかしい行動が気になり、特に気にかけています。

この時点で、水無月が母の骨壺をかかえて大阪に滞在していたところに、深い影を感じました。

水無月を泊めてくれている大阪の友人(和田正人)も、「骨壷持って旅してんの?」と不思議顔です。(そんな友人も、実は父を自殺でなくしていました。)

水無月の母(市川由衣)は孤独死で亡くなりました。

母は死の直前、「遺骨は海へまいてください」と書いた手紙と50万円を水無月に送ったのですが、「またこんなことを言っている。どうせ口だけだろう。」と、まともに請け合わず送り返してしまいました。

手紙と50万円を送り返した後母は本当に亡くなってしまい、水無月は罪悪感と苦しさを感じていました。

30年前に自分と母を捨てた父・海老沢に会いたいと願っていた水無月ですが、会いたいと思っていたと同時に父・海老沢が、自分たちを捨てさえしなければこんな目に合わずに済んだのに、という怒りも抱えています。

この時の水無月は、母のことを父に伝えたいという気持ちがあって父・海老沢に関わりつつも、実際自分が海老沢に会ったらどうなるのかわからないままに行動していたようにも見えました。

礼儀正しいと思えば、突然怒りをあらわにしたり、自分でも自分をコントロールできていないように見えた反面、30年間やりどころのない気持ちを抱えていたからこその言動に共感しました。

この水無月の衝動的とも思えた表情の変化はリアルだなぁと思いました。

孤独を抱える少女クロが気になる理由

大阪の夜の街をウロウロしている少女クロは高校生。挑発的な言葉や反抗的な行動を取っていますが、居場所がないという深刻な悩みを抱えています。

母がうつ病で家事ができないことが多く、クロが一人で家のことをしてきたのです。

クロは病気の母と関係が悪化してしまい、家にいられないので居場所を探しているうちに、ヤクザまがいの大人に誘われて犯罪に巻き込まれそうになっていました。

クロの孤独は、水無月が子どもの頃から抱えてきた状況や孤独とも重なりますよね

最初、どうして海老沢がそこまでクロに肩入れするのかと思っていたのですが、海老沢の妻(=水無月の亡くなった母)もクロの母と同じように、よく”死にたい”と口にしては自殺衝動を繰り返していて、それを救えなかった後悔があったからだったんですね。

自分は耐えられなくなってしまい、妻も息子も捨ててしまった、その罪悪感とやりきれなさから、精神科医となって同じように困っている町の人達を救おうと必死だったようです。

それを見て「自分の家族のこともちゃんとできないくせに、他人のことを救おうとするなんて」と怒りをぶちまけて後悔した水無月でしたが、これはこれで良かったのだと思います。

30年間ずっと一人で苦悩して我慢してきた水無月が爆発してしまったことが二人の関係修復の突破口になったように感じました。

自分の過去を悔いてクロを救おうとする海老沢の気持ちも理解できますし、それに怒りを感じた水無月の気持ちも理解できました。

【ちょっと脱線】グルテンアレルギーのディーンさん(水無月)がお好み焼き(粉もん)を食べている!?

ちょっとメインのストーリーからは脱線してしまうのですが、クロと水無月がお好み焼き屋で「粉もんは本当に美味しいなぁ」という場面で、ディーンさんファンは「えっ、グルテンアレルギーは大丈夫なの?」と心配になりましたよね。

後で、ディーンさんのTwitterを見ると「グルテンフリーお好み焼き、ほんまおおきにありがとう」と書いてありました。

NHKのブログにも演出(監督)の西谷真一さんのコメントがありましたよ。

それと、台本上お好み焼き屋が出てきて、脚本家の方からもできればお好み焼きにこだわって欲しいということがあったんですね。ディーンさんは言わずと知れた小麦粉アレルギーなんで、ディーンさんに「焼き肉屋に変えましょうか?」と言ったんです。そしたら「お好み焼きを食べる」とおっしゃる。そういう方なんです。そこで結局、米粉でお好み焼きを作ることになりました。ドラマで食べていたお好み焼きはグルテンフリーなので、皆様どうかご心配なさらず。

(↓NHKからドラマ放送後に発表された監督とプロデューサーの対談。ドラマの魅力が語られていておすすめです。)

「喧騒の街、静かな海」プロデューサー、監督が語るドラマの魅力 | 番組からのご案内 | NHK大阪放送局ブログ

ディーンさんはアレルギーを明るく公表しているので、周りの一に周知してもらうことで、ロケや食事に対応できますよね。ブログ記事にまとめましたので、こちらも是非どうぞ。

グルテン(小麦)アレルギーの著名人に学ぶ食物アレルギー~ディーン・フジオカ・ケネディ大統領からジョコビッチまで~ - さんぽガーデン

ディーンさんのNHKでのインタビュー記事です。(ドラマ放送前まで「ビデオレター」という形で動画インタビューだったようですが、私が気付いたのは放送後だったのでインタビュー書き起こしになっていました。)

ディーン・フジオカさん主演の特集ドラマ、いよいよ放送! | 番組からのご案内 | NHK大阪放送局ブログ

パニック障害に苦しみ始めた水無月

話はドラマのメインストーリーに戻りまして…。

死の直前の母からの手紙を無視してしまった罪悪感と責任感から、体調を崩してしまった水無月。

そのことを思い出させる場面に直面すると息苦しくなり、パニック障害の症状が出るようになりました。

最初、「水無月までストレス疾患の症状を発症する場面が必要なのかな」と一瞬思ったのですが、父・海老沢が精神科医なことから、その症状をすっと受け入れました。

息子としてだけでなく、人としての苦しみをも受け入れたように思えました。 その場面を描くためには、水無月のパニック障害の場面は必要だったのだと思います。

クロを救った海老沢。気持ちが伝わったと同時に危うい面も見せる

遂に大人に連れ去られて怪しいビルにまで連れて行かれてしまったクロ。

反抗していたはずなのに、実際に助けを求めてスマホで連絡したのは海老沢でした。

一人ビルに向かい、ヤクザまがいの男たちにボコボコにされながらもクロを救った海老沢。

クロと海老沢は二人で走って逃げながらも笑っています。ニカッと笑うクロに海老沢が「若かったときは、これでも若かったんだぞ!!」と笑顔。

世代間の違いもあって、社会的なことを考えてクロを助けようとしていた海老沢に対してクロは”クロのためだと言いながら、私の希望どおりのことは何もしてくれない!”とこれまで反抗的だったのが、一気に気持ちが近づきました。

ただ、クロに頼まれるがままに家に泊めてしまったのは近づきすぎでした。

自殺衝動に耐え切れなくなって妻を捨ててしまったことを悔いるあまり、「人を助けたい」という気持ちが強くなりすぎている海老沢の危うさが現れていましたよね。

逮捕された海老沢は善意の罪を犯した

クロを家に泊めたことで「少女誘拐」の罪に問われて逮捕されてしまった海老沢。テレビ報道もされてしまい、なんともやりきれない場面でした。

クロが海老沢の家で楽しそうにしていた時に、「あれ?一応お母さんには仲が悪いながらも連絡したのかな。」と一瞬ブルーになったんですよね。

連絡していなかったのか…。

捜索願いが出されてしまい、海老沢は警察へ。

キムラ緑子さん演じる女性(お名前失念!)は「ほんま勝手なもんやねぇ。」と、クロを普段は放置しながらも急に捜索願を出したクロの母への複雑な思いを口にします。

母の故郷・尾鷲で今まで知らなかった母に出会う

ここまで来てやっと水無月は、本来大阪に来た目的を口にすることができました。

「一緒に尾鷲に行ってくれませんか。」

父・海老沢と一緒に母の故郷である三重の尾鷲を訪れたかったのです。

水無月にすると、父と共に母を弔いたいという気持ちからの行動でしたが、二人で尾鷲を訪れることで、思いがけない発見をすることになりました。

水無月が知っていた母は、自殺衝動を繰り返し、まともに日常生活を送ることも大変で「どっちが親なんだか」と思うほど自分が母を世話してきたと自負するほどでした。

しかし、父に聞くと「絵が好きだった。絵描きにはなれないと(本人は)諦めてはいたけれど。」 味のある絵を描き、父はその絵を好きだったと言います。

水無月は絵が好きだった母の姿を知らなかったんですね。

尾鷲の家には、活躍する水無月の新聞記事を切り抜き、カメラ雑誌に掲載された写真も切り抜いて母が作ったスクラップブックが置かれていました。

「散骨は海へお願いします。お礼をすれば漁師さんがやってくれます。」と手紙にしたためた母はいつもの自殺衝動ではなく、死期を悟って尾鷲の部屋で静かに書いていたのでした。

介護の仕事をしていた母は、人にも慕われ、お年寄りに絵も教えていました。 「大作を一枚」とお年寄りの女性の息子が頼んだ絵が、海辺のカフェに飾られています。

そこに描かれていたのは、父・母・息子の三人で楽しそうに花火を見上げる家族の絵。

介護の仕事をして人を喜ばせ、絵には愛情いっぱいの家族の思い出を描いていた母。

本当は愛情深い人でした。

悲惨なイメージしかなかった母には知らない一面があったと発見した水無月が、母が人に与えることができる人であったことを発見して心が癒やされていく場面が印象的でした。

「他人ってすごいなぁ」と言いながらも、新しい母の一面を知ることができて心のどこかに晴れやかな光が差しているように見えました。

そんな場面に、一緒に父といられたことも…。

家族三人の気持ちがバラバラになってしまっていましたが、母がいたからこそ写真家になれた、妻がいたからこそ精神科医になった、三人を最後につなげてくれたのは花火の絵。

直接言葉にしたわけではないけれど、写真と医学と絵がどこかで繋がった瞬間でした。

クロも明るさを取り戻す

居場所がないという問題を抱えていたクロは、母と離れて暮らすことになりました。

これまでのように喧嘩や家出ではなく、児童相談所に間に入ってもらって、今はお互い離れている方が良い、という結論に達したのです。

クロの問題が解決して笑顔を取り戻したことは嬉しかったのですが、海老沢の不器用さに複雑な気持ちにもなりました。精神科医一人が個人的に関わりすぎることの危うさも心に残りました。

一度、海老沢に怒りをあらわにしてしまってからは、気を取り直してクロのために一緒に奔走してきた水無月。笑顔を取り戻したクロとともに、桜並木を歩く場面も印象的でした。

水無月とクロは世代は違いながらも、抱えてきた孤独は同じで共感できる部分があったようです。

まとめ

週刊北斗 vol.5

長くなってしまいましたが、73分でここまで丁寧に人の気持ちや現代の問題を描くことができるなんて、良作だったなぁと思います。

居場所のない子どもたち、うつ病やパニック障害、家族がバラバラになってしまった大人たち。

これらの問題を短い時間で描くのは本当に大変だったのではないかと思うのですが、それぞれの立場に共感しました。

今の社会ではここまで人と人が関わり合うことが難しくなっていると感じるのですが、みんな口にしないだけでそれぞれ病気だったり家族や社会的な問題を抱えて生きているのかもしれないですね。

そんな問題や再生の物語がとても丁寧に描かれていると感じました。

NHK大阪の作品は好きな作品が多いのですが、また新たに好きな作品が増えました。次回も是非大阪を舞台に、現代の人が抱える問題をテーマにドラマを制作してほしいなと思いました。

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