今回のNHKスペシャル「血糖値スパイクが危ない」も、以前このブログでもご紹介した「キラーストレス」シリーズに続いて衝撃度の高いタイトルでしたが、血糖値スパイクが何か分かっただけではなく、“誰でも簡単に危険度チェックと対策ができる”という番組内容で、とても面白くためになりました。
健康診断で空腹時血糖値は「問題なし」と診断されていても、食後に血糖値が急上昇し気付かないうちに「血糖値スパイク」を起こしていることがあります。その場合は糖尿病や心筋梗塞のリスクが高いので、「血糖値スパイク」の危険度チェックをしてみて、毎日対策するのが良いなと思いました。
今回は、NHKスペシャル「血糖値スパイク」の番組内容を振り返りたいと思います。
- 「血糖値スパイク」って何?空腹時血糖値が低くても「血糖値スパイク」をおこしている場合もあるってどういうこと?
- 誰でもすぐできる!血糖値スパイクを抑える簡単な対策は3つある
- まとめ:誰でも簡単にできる対策を行って「血糖値スパイク」を防いで健康に過ごそう
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「血糖値スパイク」って何?空腹時血糖値が低くても「血糖値スパイク」をおこしている場合もあるってどういうこと?
番組を参考に折れ線グラフを作ってみました。図の「ラーメン」マークは食事をしたタイミングです。
健康な人の場合、食事をした後の血糖値の変化はゆるやかに少し上昇しているのに対して、「血糖値スパイク」を起こしている人の血糖値は一気に数値が跳ね上がっています。
この血糖値の急激な上昇を「血糖値スパイク」と呼びます。
健康診断でも血糖値の診断を行いますが、「血糖値スパイク」は見逃されてしまうという問題点があります。診断が「空腹時血糖値」で行われるため、食後に血糖値スパイクを起こしていても空腹時血糖値には反映されません。そのため健康診断では「問題なし」とされてしまい、「血糖値スパイク」を起こしていても気づきにくいのです。
「血糖値スパイク」が引き起こす病気のリスク:動脈硬化を引き起こすこともある
「血糖値スパイク」を起こしている人は自覚症状がない場合が多く(食後に「だるい」「眠い」という感覚が血糖値スパイクの自覚症状である場合もある)、気付かないままに体への負担が増えていることが問題となっています。
イタリアの最新研究で、そのメカニズムが突き止められました。血管の内壁の細胞を糖分の多い液と少ない液にかわるがわる浸し、“血糖値スパイク”が繰り返し起きている状態を再現したところ、細胞から大量の「活性酸素」が発生することが判明。活性酸素は、細胞を傷つける有害物質です。“血糖値スパイク”の状態を2週間続けると、細胞のおよそ4割が死んでしまいました。実はこれが動脈硬化につながる原因。 (放送内容|NHKスペシャル“血糖値スパイク”が危ない〜見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策〜)
番組でも、心筋梗塞になった男性の例が紹介されていたのですが、特にその前に自覚症状はなかったと言います。しかし「血糖値スパイク」を繰り返すことで動脈硬化のリスクが高まっていたのです。
インシュリンの過剰分泌で「血糖値スパイク」が起こる
そもそも「血糖値スパイク」ははぜ起こるかというと、体内の血液中の血糖値を適正に保つ働きをするインスリンの過剰分泌が原因です。
食事をした時に、糖分が体内に取り込まれます。その時に一時的に血液内の血糖値が上昇するのですが、これを適正値に戻すためにインスリンが分泌されます。
生まれ持った体質や生活習慣の乱れが原因で、細胞が糖を吸収する能力が低下することがあります。すると、インスリンが頑張っても、血液中の糖をうまくに細胞に送りこむことができず、血糖値が急上昇します。そこですい臓は、さらに大量のインスリンを出し、なんとか糖を細胞に取り込ませて血糖値を正常レベルに戻します。このようにして、針のように上がり下がりする“血糖値スパイク”が生じるのです。
血糖値スパイクはアルツハイマー型認知症、がんの危険性も高まる
血糖値スパイクが繰り返し起こると、動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高まるだけではなく、アルツハイマー型認知症やがんになる危険性も高まると言われています。 番組で紹介されていたのがネズミの実験。インスリンが多い状態では記憶力が衰えやすく、「アミロイドベータ」というアルツハイマー型認知症の原因ともなる物質が多く溜まっていました。
この状態のネズミは、液体の中を泳いで足をとめられる場所(島)を探す実験(困ったことが起こった時に解決策を探し学習して記憶する実験)を何度行っても、解決策を学習することなく、ひたすら泳ぎ回っていました。
一方で、健康なネズミは、液体に放流されても泳いでいる途中で足をとめられる場所(島)を見つけたら、2回目以降の実験ではその場所を記憶しており、すぐにその場所に到達することができました。
このように、インスリンの過剰分泌は学習能力や記憶力、認知力を衰えさせることがあり、さらにがんの危険性も高まるそうです。
インスリンには細胞を増殖させる働きがあるため、がん細胞の増殖も促す危険性が指摘されています。
NHKのHPで誰でもいつでも「血糖値スパイク」の危険度チェックができる。
まずは、こちらのNHKの公式HPで「血糖値スパイク」の危険度チェックをどうぞ。
男性の方が女性より危険度が高く、BMI値が高い人ほど危険度が高くなっています。また、家族に糖尿病の人がいる、タバコを吸う、運動をしていない人もリスクが高くなっています。
誰でもすぐできる!血糖値スパイクを抑える簡単な対策は3つある
対策①食べる順番に気をつける。「野菜」⇒「肉・魚」⇒「ご飯・パン」
食事の中で一番血糖値を上げるリスクが高いのがご飯やパン、さらっとしたフルーツジュースなど糖分が高いものです。それを最後に食べることを心がけます。まずは野菜で食物繊維を取り、肉や魚などのタンパク質を取ります。タンパク質を取るとホルモン「インクレクチン」が分泌され、胃腸がゆっくり動き、その結果、血糖値の上昇がゆるやかになります。
対策②「朝ごはん」は食べよう
食べる回数が少ないと、その分次に食事をしたときに血糖値の急上昇が見られました。朝ごはんをしっかり食べることが大切だそうです。
私は朝ごはん抜きにすることも時々あるので反省です。
対策③「食後すぐ」はちょこちょこ動いたり簡単な運動をする(ウォーキングなど)
食後は消化のために全身の血液が胃腸に集まってきます。すると食事の糖分がどんどん吸収されてしまい、血糖値スパイクを起こしやすくなってしまいます。
それを防ぐにはウォーキングなどの軽い運動などで体を動かすことで、胃腸の動きを低下させ、糖分の吸収をゆっくりにさせることです。
どれも簡単で誰でもすぐにできる対策でした。番組に出演した方で「血糖値スパイクを起こしている」と言われた方々も、実際にこの3つの対策を行って数値が下がっていました。
まとめ:誰でも簡単にできる対策を行って「血糖値スパイク」を防いで健康に過ごそう
「血糖値スパイクが危ない」というセンセーショナルなタイトルながらも、危険度チェックや対策が簡単にできて、とてもためになる番組でした。
番組で紹介されていた血糖値を継続して計る計測器は実験用で販売されていないようです。
自宅で血糖値計測を行う場合は針を刺して1回1回行うタイプが発売されています。私も1台欲しいなと思っているのですが、食後の血糖値を実際に計測してみると「血糖値スパイク」に当てはまるかどうかよりチェックしやすいと思いました。
体をちょこちょこ動かすようにして、糖分は抑えながら食事をする。また、糖分を取るときは順番に工夫して朝ごはんは抜かない。これだけで「血糖値スパイク」のリスクを減らすことができますので、番組で紹介されていた「血糖値スパイク」の対策を毎日続けて健康に過ごしたいですね。