【展示会感想】「この男がジブリを支えた。近藤喜文展」阪急うめだ:「耳をすませば」監督はみんなの子ども時代の思い出を作った人だった

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大阪・梅田の阪急うめだ(百貨店)で開催されている「この男がジブリを支えた。近藤喜文展」へ行ってきました。

アニメ映画「耳をすませば」の監督を務めた近藤喜文さんの手描きのスケッチや原画が500点も展示されており、「この作品もこの作品も近藤喜文さんだったんだ!」と新しい発見が沢山あった素敵な展示会でした。

耳をすませば [DVD]

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70年代の女性ファッションのスケッチに当時の文化を感じる

1970年頃に描かれた女性たちのファッションを描いたスケッチが印象に残りました。

靴紐やブーツの素材感までわかるようなスケッチです。近藤さんの絵はアニメでありながらも、時代や文化背景をとても大切にしていて、想像の中で作り上げた世界だけではない本当に生きている人たちを描いていたんだと感じます。

「火垂るの墓」の節子の眼差し

「火垂るの墓」の原画を見ると、映画の場面が次々と思い出されて節子の気持ちが今にも動き出しそうでした。

節子は一人でしゃがんで遊んでいる場面が多いのですが、その眼差しの先には親に手をひかれる自分と同じ年頃の女の子がいます。

表情だけでは読み取れない節子の気持ちが一枚一枚の絵に表現されていました。

短い時間しか生きることのできなかった節子のことを想うとなんとも言えない気持ちになります。そんな中で蛍を見た思い出がせつなく輝いていました。

原作は野坂昭如さんの直木賞受賞作品「火垂るの墓」です。

「名探偵ホームズ」と「若草物語」のキャラクターたち

「名探偵ホームズ」の大好きだった犬のキャラクターたちや、憧れだった「若草物語」のメグやジョーは、近藤喜文さん作画だったことを初めて知りました。

「このキャラクター知ってる!」「これもこれも近藤喜文さんだったんだ」

見る絵見る絵がどれも初めてなのに、懐かしくていきいきしていて不思議な気分でした。

私の中で初めて観たホームズは近藤さんが描いた「犬」のホームズだったんです。

ホームズもワトソンも犬のイメージが強く、後々人間が演じている名探偵ホームズを見ると「ホームズやワトソンはやっぱり犬の方がいいんじゃない?」と思ってしまうほどでした。

今ではドラマ「SHERLOCK」でベネディクト・カンバーバッチやマーティン・フリーマンが演じるホームズやワトソンの大ファンでもあるのですが、やっぱり名探偵ホームズの原点は、私の中では近藤さんのアニメであり犬のホームズとワトソンです。

原画の色合いがポップで明るく、憧れだった「名探偵ホームズ」の世界を見ることができて嬉しかったです。

「若草物語」のキャラクターの長女メグが普段網(ネット)でまとめているヘアスタイルに憧れていました。

本当は長い髪なのですが、網でまとめているんです。

その網でまとめた髪は、上を向いた時には”後ろはこうなる”と近藤喜文さんのアニメ製作時の指定もあったりして、どの角度から見てもリアルな人物を描くことを心がけていた様子が分かりました。

メグ達キャラクター全員を並べて描いてキャラクターの背の高さを比較しているスケッチもあります。

場面ごとにキャラクターの背の高さが変わったりしないよう、作画担当の人達にわかりやすくするため描いていたようです。

ロケハンをして本当の景色と文化をアニメで描く

大人になってから気付いたことですが、ジブリのアニメはロケハンをして本当の景色や文化を描いていたんですね。

広い世界を初めて見る子ども向けだからこそ本当の世界を見せようとしてくれていた近藤さんに今すごく感謝しています。

大人になってからヨーロッパの様々な景色を本や映像で見て「この景色見たことある!アニメと一緒だ!」と思ったことが何度あったか…。

「おもひでぽろぽろ」柳葉敏郎と今井美樹の表情スケッチ

「おもひでぽろぽろ」のキャラクターデザインのため、近藤さんが描いた柳葉敏郎さんと今井美樹さんのスケッチが沢山展示されていました。

ちょっとした表情の変化を色んな角度から見て何枚も何枚もスケッチしています。

柳葉さんらしい目元や口元の表情を見ていると「ああ~そういえばこんな表情してた!」と現実の柳葉さんと「おもひでぽろぽろ」のタエ子の休暇の様子が思い出されます。

「耳をすませば」監督は近藤喜文

「耳をすませば」を見ていると、誰でも中学生に戻ることができますよね。

アンティークショップ「地球屋」や猫人形バロンが出てくるところも何だか不思議で、雫と聖司の世界にどんどん惹きこまれていきました。

身近な新興住宅地が舞台になりつつも、歌やバイオリン、地球屋、猫と透明感あふれる世界観がジブリならではですよね。

もし近藤さんが今も生きていたらどんな作品を作っただろうと想像します。

近藤さんへの感謝の気持ち

子どもの頃に好きだったアニメや映画について詳しく知るにつれ、会ったことがない大人達にずっとお世話になっていたことに気付くようになりました。

質の良いアニメや映画を見せようと情熱を持って制作していた近藤さんのような方について知れば知るほど「お礼を言いたかったな」と思います。

近藤喜文さんは1998年に亡くなっています。当時アニメを見ていた人達で私と同じような気持ちになった方も沢山いるのではないでしょうか。

展示会に行ってから、改めて近藤喜文さんのアニメをまた観たい気持ちでいっぱいです。

近藤喜文さんが原画を担当したアニメ「ど根性ガエル」は映像配信サイトHuluでも配信中です。
Hulu

追記(2016年6月3日):「おもひでぽろぽろ」北米で公開スタート!英語版主演はスター・ウォーズのデイジー・リドリー

2016年6月3日より、北米でも「おもひでぽろぽろ」が公開スタートしました!

英語版でタエ子を演じるのは、映画「スターウォーズ・フォースの覚醒」で女性主人公レイを務めた女優デイジー・リドリーです。

北米にも近藤喜文さんの世界観が広がることになり、とても楽しみです。

デイジーが子どもの頃からのジブリ愛についてイギリスBBCニュースで語った様子をブログ記事にしました。

是非合わせてご覧ください。

【「おもひでぽろぽろ」北米公開】スターウォーズ主演女優デイジー・リドリーがジブリ愛を語る【イギリスBBCニュース】 - さんぽガーデン

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